2024年ケアマネ試験【問題59】福祉サービス分野「成年後見制度」について
2024年ケアマネ試験問題・解説こんにちは
ある日、認知症の患者さんが緊急入院し、医療スタッフは本人の意思を確認できず戸惑っていました。成年後見制度があれば、速やかに判断ができたのではないか。このように、医療・介護の現場で成年後見の理解がいかに重要かを痛感しました。
問題59では、医療・介護現場でも日常的に直面するこうした場面での対応について、具体的に見ていきましょう。
今日は、問題59です。
【問題59】成年後見制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
1.親族は、成年後見人になることができない。
2.後見開始の審判は、本人も請求することができる。
3.法人も、成年後見人に選任されることがある。
4.身上保護(身上監護)とは、本人に代わって財産を管理することをいう。
5.成年被後見人の法律行為は、原則として、取り消すことができる。
早速、解説していきたいと思います。
解説
1.誤り
親族も成年後見人になることが可能です。ただし、近年では親族が選任される割合は減少傾向にあり、2023年時点で約18.1%程度となっています。
2.正しい
成年後見制度では、後見開始の審判を請求できるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などです。本人自身も請求することが可能であり、これは本人の権利を尊重するための重要な仕組みです。
3.正しい
成年後見人には、親族だけでなく、社会福祉法人や弁護士法人などの法人も選任されることがあります。特に近年では、親族以外の第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が選任される割合が増加しています。
【実務的な具体例】
例えば、認知症の利用者が施設入所を決断する際、親族が遠方に住んでいる、または関与を希望しないケースでは、社会福祉法人が後見人として契約手続きを行います。これにより、利用者が施設サービスを受けるための安心感が得られます。
4.誤り
身上保護(身上監護)は、被後見人の生活全般を支援することを指します。具体的には、介護契約や施設入所契約、病院入院手続きなどを本人に代わって行うことです。一方、財産管理は別の役割であり、財産の保存や利用、処分に関する法律行為を行います。
5.正しい
成年後見制度の重要な機能の一つは、成年被後見人が行った不当な契約や詐欺的な行為を取り消すことができる点です。ただし、日用品の購入など日常生活に関する行為は取り消しの対象外です。
解答:2.3.5
解説は以上です。
■ 医療・介護現場での実践的な活用例
成年後見制度は、医療や介護現場での利用者の支援に欠かせない制度です。特に、認知症や精神障害を持つ利用者の生活や財産を守るための重要な仕組みであり、その実務的な活用法を理解することが大切です。
医療・介護の現場では、以下のような場面で成年後見制度が活用されています。
1.医療に関する重要な決定
・認知症の利用者が手術を受ける際、後見人が医師と相談し、本人の意思を反映した治療法を選択します。
2. 金銭管理
・後見人が年金収入から生活費を適切に支出管理し、被後見人が経済的に困難でなければ支援します。
3. 介護サービスの利用契約
・後見人が訪問介護や施設入所の契約を代行し、介護サービスの選択に関与します。
4. 生活環境の整備
・被後見人が安全に生活できるよう、住居の改修や福祉用具の購入を後見人が行い、被後見人が自立した生活を送れるよう支援します。
学習のポイント
毎年1問出題される問題です。今回のようなやさしい問題もあれば、詳細な内容の問題まで様々です。過去問をみながら重要ポイントを押さえましょう!
問われるポイントを整理して、ノートやテキストで確認しましょう。
まとめ
成年後見制度は、医療・介護現場で利用者の権利を守り、生活を支えるための重要な仕組みです。後見人は利用者の意思を尊重しながら、医療契約や金銭管理、生活環境の整備など、幅広い場面で支援を行います。この制度の理解を深めることで、実務における支援の質を向上させることができます。
次回予告
次回は、問題60「後期高齢者医療制度」について解説します。後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度であり、医療・介護現場での実務に直結する重要なテーマです。
次回もぜひご覧ください!
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