2024年ケアマネ試験【問題24】高齢者虐待防止法を踏まえた介護支援専門員の対応として事例問題①
2024年ケアマネ試験問題・解説こんにちは!ケアマネ試験解説シリーズ24日目へようこそ。
試験から3週間が過ぎ、合格発表まであともう少し。11月25日(月)の発表に向けて、胸の内は複雑な思いでいっぱいではないでしょうか?
でも、ここで一つ覚えていてほしいことがあります。皆さんは既に、大きな山を越えてきたのです。
日々の仕事と両立しながら、膨大な範囲の勉強に取り組み、試験当日まで全力を尽くしてこられました。その努力は、必ず皆さんの中に残っています。
今日も、24問目の解説をしていきますが、その前に深呼吸をして、少し肩の力を抜いてみましょう。たとえ不安な気持ちがあったとしても、一問一問の解説を通じて「なるほど、そういうことだったのか」という気づきを得ることは、きっと今後の実務に活きてくるはずです。
今日は、問題24(事例問題)
【問題24】
Aさん(80歳,女性,要介護2,認知機能は低下していない)は,長男と二人暮らしで,通所介護を利用している。その通所介護事業所の職員から,入浴時にAさんの体に直径3cmくらいのあざが数か所あることを見つけ,Aさんが「長男に怒鳴られて,叩かれた」と話していたことについての相談があった。高齢者虐待防止法を踏まえた介護支援専門員の対応として,より適切なものはどれか。2つ選べ。
1.一時的なものと考え,しばらく様子を見ることにする。
2.速やかに市町村に通報する。
3.直ちにAさんが長期間養護を受けるために必要となる居室を確保するための措置を決める。
4.長男が居ない場で,Aさんと今後の介護サービスや対応について茆をする機会を設ける。
5.長男に対し,なぜ怒鳴ったり叩いたりしたのかを厳しく問いただす。
学習のポイント
*事例問題は、実務に直結する介護支援専門員の対応です。
*状況を整理してから選択肢をもいていきましょう!色がついているところに注目してくださいね。
*高齢者虐待防止法を踏まえた上でどのように対応方法が求められています。
早速解説をしていきたいと思います。
解説
1.不適切
高齢者虐待防止法第7条において、養護者による虐待が疑われる場合、特に生命や身体に重大な危険がある場合には、速やかに市町村に通報する必要があります。
本事例のように、身体に複数のあざが確認され、本人から発信した言葉はよほど辛い状況で助けを求めている状況であり、高齢者虐待の可能性が高いため、介護支援専門員は、速やかに市町村に通報することが、適切な対応と言えます。虐待の疑いがあるにもかかわらず、「一時的なもの」として様子を見る対応は、不適切ですね。
2.適切
高齢者虐待防止法第7条において、養護者による虐待が疑われる場合、特に、「生命や身体に重大な危険がある場合」には、速やかに市町村に通報する義務があります。
3.不適切
市町村に通報するまでは、介護支援専門員の対応として適切と言えますが、その後、居室の確保などの保護等の措置は、事実確認と状況評価を行った後に、市町村が行うことであり介護支援専門員の対応としては、不適切です。
4.適切
Aさんの意思や今後の介護に関する要望を確認するために、長男のいない場で、Aさんと話す機会を設けることは適切な対応と言えます。長男がいる場合、Aさんが、自由に話せない可能性があるため、安心して話せる環境を整えることが大切です。
5.不適切
虐待が疑われる場合でも、養護者に対するアプローチは慎重に行うことが求められます。虐待の事実が確認されていない段階で一方的に問い詰めたり、非難したりするのはでなく、かえって状況を悪化させるリスクがあります。
介護支援専門員としては、市町村や地域包括支援センターなどの関係機関と連携し、冷静かつ客観的に状況を見極めながら対応することが求められます。虐待が発生する背景には、介護負担の増加や経済的困難など養護者が抱える問題がある場合も多いため、必要に応じて養護者への支援も検討します。
解答:2.4
解説は以上です。
まとめ
高齢者虐待が疑われる場合、介護支援専門員は以下の点に注意して対応すること
- 速やかに市町村に通報する
- 高齢者の安全確認と事実確認を行う
- 高齢者本人と直接話をする機会を設ける
- 市町村や関係機関と連携して支援方針を検討する
- 養護者への対応は慎重に行う
高齢者の安全と尊厳を守るため、迅速かつ適切な対応を行い、専門機関と連携しながら支援の体制を整えることが重要です。
次回の予告
次回は【問題25】を取り上げます。問題25は、特に家族間の意見の対立や高齢者の自立支援に関わる課題を検討する内容です。
実際の現場で、必要な総合的な支援方法について考えていきましょう。
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