2024年ケアマネ試験【問題25】自立支援・重度化防止の観点に立った介護支援専門員の対応として 事例問題②
2024年ケアマネ試験問題・解説こんにちは
ケアマネジャー試験から25日が経ちましたね。受験生の皆様は、試験の緊張感から解放され、日常生活に戻られていることでしょう。
今日で、介護支援分野の解説が終了します。問題を振り返ってみていかがでしたか?
事例問題は、色々な視点や角度から問題を考えてみて、どのように対応したらいいのか?
実践での対応が求められ、幅広い視点と知識が必要ですね。同じ事例問題でも、ケアマネさんの考え方、視点で変わります。正解、不正解はありませんが、私が考えた視点で解説していきます。
今日は、事例②問題25です。
【問題25】
Aさん(85歳,女性)は,長女と二人暮らしである。Aさんは自宅で転倒して腰椎を圧迫骨折し,1か月入院した。退院後,筋力低下が著しく,要支援2の認定を受けた。介護支援専門員が訪問したところ,Aさんは以前のように自分で家事や入浴をしたいと希望しているが,長女は転倒を心配してデイサービスでの入浴介助を希望していて折り合わない。自立支援・重度化防止の観点に立った介護支援専門員の対応として,より適切なものはどれか。3つ選べ。
1.長女の希望だけに沿ったケアプランを作成する。
2.筋力低下の原因や回復方法等の確認のため,医師,理学療法士,管理栄養士などに相談する。
3.自宅での転倒リスクを軽減し,できるだけ自宅での自立した生活を営めるように,生活環境全般を把握する。
4.様子を見るため,あえて目標や期間を定めずに介護予防通所リハビリテーションの利用を位置付ける。
5.Aさんと長女を交えて,自立支援・重度化防止に向けた話し合いの場を設ける。
早速、解説していきます。
解説
1.不適切
Aさん本人の自立のためには、Aさんの希望をプランに反映せず、一方的に、長女の希望に沿ったケアプランを作成するのは、Aさんの自立さんの自立支援の視点から外れているので見直しが必要です。また、家族の意見や希望も配慮し、慎重にケアプランを作成すること求められます。
2.適切
Aさんの筋力低下の原因を把握し、回復に向けた具体的な支援内容を検討するために、多方面との連携が重要です。
医師や理学療法士の意見を参考にすることで、Aさんにあったリハビリや栄養管理を実施でき、最適なケアプランの策定が可能になります。自宅での転倒リスクを軽減し、自立した生活を営めるように、生活環境全般を把握することは適切な対応と言えます。
3.適切
Aさんが自宅で安全に生活できるよう、生活環境の導線と整備が重要です。段差の解消や手すりの設置、滑り止めマット、夜間の照明の改善、家具の配置等見直しなどの対策で、転倒リスクが軽減されます。転倒防止と安全の確保ができます。また、筋力トレーニングも必要です。
4.不適切
介護予防リハビリテーションを位置づける際には、医師の指示が必要です。計画作成に当たっては、医師及び利場ビリ職が協働で作成に、目標達成に向けて具体的な計画を作成し、開始から少なくとも1か月に1回は、利用者の状況、サービスの提供場業について介護予防支援事業者に報告しなければなりません。計画したサービスの提供を行う期間が終了するまでに、少なくとも1回は、当該介護予防通所リハビリテーション計画の実地状況の把握を行ういます。自立支援のためには、具体的な目標設定と期間が決められます。目標や評価期間を定めることなく支援を進めることは効果的なケアプランとはいえませんので「目標を定めずに」が不適切です。
5.適切
Aさんの自立した検討を思いやりつつ、長女の心配にも配慮するためにも、 両方の意見を聞き、専門的な視点から適切な対応方法を共有するそれで、Aさんの自立希望と長女の安全への不安をバランスよく反映したケアプランを立てることができます。
解答:2.3.5
解説は以上です。
問題のポイント
*現在のAさんの状況の把握と希望と長女の希望には、相違をそのように対応していくか
*自立支援と重度化を防止防ぐ人の自立支援を目指しつつ、重度化を防ぐためのリスク管理が重要です。Aさんの希望を尊重しつつ、転倒リスクに対応した安全な環境を整えることが基本になります。
①自立支援と重度化防止(環境によるリスク軽減)
・Aさんが安全に自立した生活を送れるよう支援しながら、転倒を軽減するために生活環境を整備し、安全に自宅で生活できる環境を作ることが求められます。
②多職種連携の重要性
・医師や理学療法士、管理栄養士との連携により、専門的な知見を取り入れたケアプランの作成。
③家族との調整と意図の尊重
・Aさんの希望と長女の意図が異なる場合、思いやり双方が納得できるケアプランを作成することが重要です。
④目標設定と効果の評価
・ケアプランには明確な目標と評価のための期間を設定し、効果的に支援が進むように進捗を確認しながら調整を行います。
まとめ
この問題では、Aさんの自立と長女の心配のバランスを取りながら、介護支援専門員としてどのように対応すべきかが問われています。家族間の調整、多職種連携によるサポート、生活環境の改善などが必要です。適切な対応をとることで、高齢者が安心して自立した生活を送れるよう支援が可能となります。
介護支援専門員の役割として、利用者の自立支援と重度化防止を同時に目指しながら、本人の意志と家族の心配を調整することが求められます。
利用者の生活を支えるにあたって、「自立支援」は「尊厳の保持」と共に大切にされなければなりません。自立支援には、目的としての自立(自律)支援と目的を実現するための具体的な活動としての自立(自律)支援があります。
高齢者の介護の基本理念を、「高齢者が自らの意思に基づき、自立したその高い生活を送ることができるように支援すること」として、これを高齢者の自立支援としています。(10訂㊤P241)
次回の予告
次回は、保健医療サービス分野に入ります。問題26を解説します。
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